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企業防災BCP策定セミナー 実務紹介編 第2回

 企業防災BCP策定セミナーの全6回講義は下図のようになっており、第2回目は「地域への影響を探る。DIG演習」です。平成26年10月3日に行われました。

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 DIG(Disaster Imagination Game)とは、「大きな地図台を中心に、参加者全員が地図を囲むよう集まり、災害に備えて、災害がどこにどのように発生するか、また発生した災害に、地域住民としてどのように対策すれば、被害が少なくて済むかを、意見交換しながらイメージトレーニングする訓練方法」です。具体的には、状況設定が行われ、それに対し四日市中心部の大きな地図を使い、透明のビニールシートを被せ、鮮明な油性のマジックインキを使い、ポストイットなどを使い書き込みながら、参加者全員で議論します。


 訓練の状況設定は次の通りです。
「対象とするものは地震と水害です。東海・東南海・南海の3連動地震が発生したと想定します。震源は駿河湾、熊野灘、室戸岬沖で、地震の規模は最大M8.7、最大震度は5強です。津波は熊野灘沖では最大24m、四日市港では最大5mが襲います。水害想定として、スーパー台風24号による集中豪雨が4日間続きます。降水情報は、四日市、桑名地域は4日間の累積降水量1,800mmで、時間当たり最大120mmです。」

 具体的なDI演習には、環境思考㈱の水谷専務が参加されましたので、追跡しました。
DIGの演習では2つの事柄をみんなで話し合います。1つ目は「地域の現状点検」について、2つ目は「被害想定」についてです。DIG演習では、我々はこういう場所にいるのだということを共有することに意義があるのです。脅威と感じる事象は何か。震度5強の揺れが来たら何が起こるか。液状化は発生するのか。等々の情報を共有して一緒に考えるのです。

 環境思考㈱さんが参加されたAグループでの演習は次のステップで進められました。

第1ステップ…
 四日市のどの地区に事業所があるかマーク。まず自分の事業所の場所を記入して意識づけすることにします。

第2ステップ…
 次に地域の防災資源の位置を確かめます。防災資源とは、市庁舎、消防署、警察署、病院、社会福祉施設、学校、避難所、スーパー、防災倉庫、ガソリンスタンドなどです。ガソリンスタンドを記入することには2つの意味があります。
1つは、ガソリンスタンドに保管されている燃料は地震が起きた時に燃える可能性があり、非常に危険です。
1つは、燃料は地震後生活必需品となりますので、震災後非常に重要であるという点です。

第3ステップ…
 津波の被害想定ということで、四日市市の津波避難マップを活用して、避難区域と標高5mラインを書き込みます。

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第4ステップ…
 東海道を記入。東海道の周りは湿地帯。東海道を描いてみると、液状化を受ける地域を通っていることが判ります。
 一度自分の事業所の地層がどうなっているかを確認することも必要です。地層調査のポイントは、表層から20mの深さまでが対象で、その間が粘土層であれば液状化を起こしません。砂地はN=15~20で液状化を起こします。N値とは、貫入試験でサンプラーを30cm打ち込むに必要な打撃数のことです。

第5ステップ…
 昔から言われている話をお年寄りから聞き出し記入します。例えば「四日市は川が多く、昔から氾濫を繰り返してきた。」などです。等高線が判れば記入します。洪水による氾濫で、水を被る地域が判ります。橋が落ちることも考えなければなりません。

第6ステップ…
四日市にはコンビナートの中に民家があるのが大きな特徴です。家の下を走るガス管はどうなるのか。

 以上の演習から環境思考㈱さんも、四日市市という地域が地震に襲われた時にどの様な災害を蒙るのか凡その目途もつきました。これから自分会社の事業所近傍の被害想定を行う上で、非常に有意義な予行演習になったようでした。