(その6)…機能性トマト開発へのデリカフーズの応援

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 デリカフーズホールディングス㈱は資本金14億円、従業員数600名で、傘下にデリカフーズ㈱、FSロジスティクス㈱、メディカル青果物研究所、デザイナーフーズ㈱を有する会社です。外食産業を中心にホール野菜の販売・カット野菜の製造及び販売を主たる事業とし、野菜成分分析及び機能性野菜の開発研究、健康促進メニュー提案などを行っています。またトマトは最も取り扱いの多い野菜の1つです。ホール野菜とは、野菜のくずを捨てないでそのまま食べることで、より栄養素をまるごと取り込む野菜を指します。

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 デリカフーズ㈱は2005年頃に、開発部長の田井中氏を三重大学医学研究科の社会人ドクターコースに送り込み、博士論文テーマとして「栄養ゲノミクスに基づくトマトの真の機能性評価法の確立-ヒト肥満モデルゼブラフィッシュを用いたハイスループット生体評価システムの構築」を扱っていました。


 今回我々が提案している「機能性トマトの開発」プロジェクトにおいても、当初から参加され、逸早く熊本有明海干拓の井出農家を紹介して頂きました。デリカフード㈱は、以前から井手農家の「塩トマト」に目を付け、デリカフード㈱の流通網で販売できないかと、テスト販売を開始していました。三重大学での「機能性トマトの開発」が開始されると、傘下のデザイナーフーガの服部博士をプロジェクトに送り込んで頂き、以降色々と協力して頂くことになります。

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 トマトの抗酸化性成分の分析については、本来ならば獲得した補助金の中で分析評価をお願いする予定でしたが、申請した補助金がすべて不採択になったため、手弁当で分析評価を続けて頂きました。

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 デリカフーズ㈱の丹羽社長には、2016年3月の北伊勢上野信用金庫・コラボ産学官が開催した懇話会セミナーで「野菜のチカラで健康寿命をのばす」と題して講演していただいています。

 2015年に入ると四日市市も資金の手当てをして検査機器の導入を行っていますし、デリカフーズ㈱もマーケティング面で本気になり始めていました。ところが、2015年8月に農林水産省から発布された「機能性表示に向けた技術的対応について~生鮮食品などの取り扱い~」に関する規制化により、一気にやる気を削がれてしまいました。

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 機能性表示食品制度では、含まれている成分濃度の個体差が大きい生鮮食品やその簡易な加工食品は(以下「生鮮食品」という)について、機能性関与成分に関する表示を正しく行うために届出者が取り組むべき事項として、以下のようなものが挙げられます。

1. 成分濃度の規格設定と届出後のモニタリング
2. 生産方法の改善と品質管理

 この規制により、デリカフーズ㈱は、多くのデータの報告に迫られること、および申請手続きが大変となることなどの問題となりました。

 機能性食品の場合、大企業等で機能性要素を抽出して食品加工している場合には、データ提出もそれほど大変ではありませんが、生鮮食品となりますとその大変さは想像を絶するものがあります。

 結局、最終的には事業開発を断念しようということにデリカフーズ㈱内ではなったようです。そして本プロジェクトも終了するという憂き目に遭いました。

 当初補助金が取れていて、開発がもう少し早まっていれば本規制にかかっても乗り越えられたのかも知れませんが、皆さんどう思われますか。

 

 



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